【書評】きゃりーぱみゅぱみゅのブレイクには戦略があった!byこれ、いったいどうやったら売れるんですか?
今、書店のマーケティング関連のコーナーで平積みされているこちらの本。
これ、いったいどうやったら売れるんですか? 身近な疑問からはじめるマーケティング (SB新書)
昨日、立ち寄った本屋さんのマーケティングコーナーでブラブラしていた際、広末涼子が表紙に出ていて目に留まってページをめくってしまった。
結論、読んでみて広末は、本の内容と全く関係なかったです笑
なんで広末?なんで広末?と思い、ページをめくりましたが、結局どこにもそのアンサーはありませんでした笑
ただ、読み終わる頃には、なぜ広末を表紙に載したか著者の意図がわかると思います。まさに本の中で紹介されているマーケティング手法が使われています。
想定する読者のターゲティングがしっかりしています。まんまと引っかかってしまったと感じます。
裏表紙の広末の姿はちょっと謎のままでしたが。。
こちらの本では、マーケティングに関する知識が広く学べると思います。
またうまくいっている会社の戦略や、身近な事例が多く紹介されているため、自分の経験に基づき考えることができ、とても参考になると思います。
異動などでマーケティングを勉強する必要がある方、SEOは知ってるけど実はマーケティングについて体系的な勉強をしておらず知ったかぶりをしてしまってる方、是非読んでみてください。
内容は初心者向けなので、マーケティングを実務にしていない方でもさらっと楽しく読めると思います。
以下、本の内容を簡単に紹介します。
第1章 バリュープロポジションと新たな市場を作ることの重要性
第1章 腕時計をする人は少ないのに、なぜ腕時計のCMは増えているのか?
(この章で学べること:コモディティ化/バリュープロポジション/ブルーオーシャン戦略/マーケティングミックス)
腕時計を例にとって、昔と今の商品設計とマーケティングの違いを説明しています。
昔の腕時計に対するニーズは「正しい時間がわかること」でした。
しかし、現代では正しく時間を測ることはもちろん、スマホの普及により、正しい時間を把握することは容易になり、腕時計を必要としなくなりました。
そこで、今腕時計で売り上げている会社は、今までのような正しく時間がわかることを追う時計を作るのではなく、腕時計×〇の組み合わせにより、ユーザーの新しいニーズに対するサービスを提供することで、腕時計の新たな市場を形成しています。
心肺機能を強化する腕時計などが例であげられています。
第2章 顧客生涯価値を考えてアプローチをすることが大事
第2章 人はベンツを買ったあと、どうしてベンツの広告を見てしまうのか
(認知的不協和/顧客ロイヤルティ/顧客生涯価値/顧客満足の仕組み/ブランド資産)
ここでは、ベンツの例を挙げて新規購入後の顧客満足度に配慮することの大切さを述べています。
人は大きな買い物をした後は不安になります。
「本当に買っても良かったのか?」
「不具合はないのか?」
などなど、購入後も気になって商品ページをのぞいてしまうようです(自分には当てはまらないのですがw)
この不安感を取り除くために、先回りしてアプローチをかける必要があります。
なぜなら新規購入後にさらにリピーターになってもらうことで、一人当たりの購入単価が引き上げられるためです。
さらにリピーターからブランド信者になってもらうことで、周りの方にも商品を勧めてくれさらなる広告効果がでてきます。
アプローチする際は、
潜在顧客 → 見込み顧客 → 新規顧客 → リピーター → 贔屓客 → ブランド信者
各フェーズによって"かける言葉"を変える必要があります。
場合によって"手段"も変えたほうがいいでしょう。
その具体例が本には記載されています。
これ、いったいどうやったら売れるんですか? 身近な疑問からはじめるマーケティング (SB新書)
第4章 価格決めの重要な視点
第4章 あの行列のプリン屋が赤字の理由
(価格戦略/価値基準型価格設定/コスト基準型価格設定)
価格決めがいい加減な企業が日本には多いと述べられています。
読んでいてまさにと思いました。
特に医療現場は、コスト感が全くないよなと感じました。
患者さんが良くなるということはわかっても、人件費含め日々の業務のコスト換算が全くできていないため、自己犠牲になってしまっています。
価格を決める視点として、"価値基準型価格設定"と"コスト基準型価格設定"があります。
どちらの考え方で価格を決めたほうがよいか、また決めるにあたって戦略が大事であると述べています。
- 提供するターゲットをどこにしぼるのか
- 絞るにあたって価格設定はどうするか
- 決めた価格で売り上げを伸ばすためには、提供手段をどうすればよいか
第5章 チャネルとランチャスター戦略
第5章 セブンの隣になぜセブンがあるのか
(チャネルの考え方/チャネルコンフリクト/ランチェスター戦略/外線戦略・内線戦略)
この章では有名なセブンイレブンの事例を例にして、ユーザーにどうサービスを提供するかを考えることが大事と紹介されています。
セブンは地域密集型で店舗を構えており、以下のメリットを十分に発揮して売り上げを伸ばしています。
- その地域のユーザー特異的な商品を提供する
- 地域に最適化した広告を打つことができ、かつ店舗が密集しているため、効果を高めることにより広告コストを下がる
- 店舗密集により商品配送コストを極端に下げる
それだけではなく、地域やユーザー属性を丁寧に取得していることによって、商品設計にも役立てているようです(このデータをメーカーがこぞって欲しがっている)。
初めて知ったのですが、買い物をしたお客さんの年齢と性別をレジで入力しているようです(通称「年齢ボタン」?)。
ピンク色と水色で性別がわかれ、年齢は4段階ぐらいに分けられています。
これにより、20代の男性が何時頃にどういったものを買っているかが把握できます。
これは素晴らしいマーケティングですね。
ちなみにこの本を読み終わった後、セブンでどのボタンを押されるか注意深く確認しましたが、私は20代男性のボタンが押されていました(まだまだイケると確信しましたw)。
第6章 戦略について
第6章 女の太った財布には何が入っているのか?
(競争戦略(コストリーダーシップ、差別化戦略、集中戦略)/規模の経済、経験曲線/顧客開発プロセス)
こちらの章のはなまるうどんのキャンペーンの例はとても参考になりました。ぜひ本を読んでください。
これ、いったいどうやったら売れるんですか? 身近な疑問からはじめるマーケティング (SB新書)
第7章 イノベーター理論とそのアプローチ方法について。キャズムをどう超えるか?
第7章 きゃりーぱみゅぱみゅはなぜブレイクしたのか?
(イノベーター理論/キャズム理論)
ブレイクする過程でサービスを利用するユーザーには特徴があります。
この特徴をよくイノベーター理論で紹介されています。
イノベーター
- 新しい物好きな人たちです。
- ただ、世間一般とはやや価値観がずれているので、イノベーターが商品を購入した所で、そこまで市場を大きく動かすことが出来ません。
アーリーアダプター
- イノベーターほどではありませんが、最新の情報を常にチェックしており、新商品の導入には前向きです。
アーリーマジョリティ/レイトマジョリティ
- この層は新商品の導入には控えめで、決して自分から商品を試してみようとはしません。
- アーリーアダプターが利用して、安心に感じてから&周りがようやく使っているのをみて興味を持ちます。
- この層を抑えることができるとかなりブレイクしたといえるでしょう。
ラガード
- どうがんばっても利用しない人です。諦めましょう
アーリーアダプターからアーリーマジョリティへの移行には壁があり、これをキャズムと呼びます。
きゃりーぱにゅぱにゅのヒットには、キャズムを超え、ブレイクをさせるための戦略が隠されていたと記載されています。
青文字系のファッションの先駆けであり、世界に"kawaii"を広めた立役者です。
詳しくは本をご確認ください^^
紹介しきれない点が多々ありましたが、詳しく知りたいなと思った方は、ぜひ読んでみてくださいね!
これ、いったいどうやったら売れるんですか? 身近な疑問からはじめるマーケティング (SB新書)